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●取材:西沢八月 ●写真:ジョン・チーズバーガー0.9999999999999……、9をいくつ数えていけば“1”に辿りつけるのだろう。どれだけたくさんのバンドを見れば、ライヴの真実に辿り着けるのだろうか? それは、9を永遠に書き続けても、けっして1にはならないように、おそらく誰にもわからないし、その日がいつくるのかもわからない。でも“その日”は必ず来るはずだ。ライヴにさえ足を運んでいれば…。そう、ライヴにこそ真実があるのだ。 今回で2回目を迎えた「LIVESTAR’s FES」。前回に負けずと劣らない実力派のバンド達が集まってきた。 トップバッターは柏ZaX推薦のバンド、Sound-Of-Stain.。インストナンバーから始まるという意表を突いたオープニングで観客の目を惹きつけていく。柴山陽平(vo,g)の愛器であるストラトキャスターから生み出される鋭いカッティングから始まったのは「クラウド」。スピード感とキャッチーさを持ち合わせたナンバーは、どこか懐かしさを覚えるメロディが印象的。また、広がりのある曲調の「未来」は、彼らの強い未来への意思表示にも感じ取れる。 最後に演奏された「青の唄」は、“動”だけではないSound-Of-Stain.の“静”のイメージ。しかし、その根底にはしっかりと力強さが宿っていた。3ピースならではの荒々しいプレイと勢いに任せた彼らのパフォーマンスは、ロックに取り付かれた少年期の初期衝動をそのまま吐き出しているかのようにも思えた。 「翼をください」のSEで登場したMorton the Onは、その佇まいからもタダ者ではない何かを感じさせる。重厚で広がりのあるサウンドは、通常のライヴハウスよりは遥かに広いであろう、このO-WESTの空間をあっという間に彼らの色に染めていく。プログレの要素も垣間見せるその演奏は、確かなテクニックに裏付けされており、聴く者に安心感を与える。戸嶋(b)は太いサウンドとアグレッシヴなパフォーマンスで観客を煽り、悔しいが、知らぬ間に彼らのペースにハメられているのが自分でもわかった。 「春と大好きな人のために歌います」という竹田(vo)のMCのあとに演奏された「ダイアモンド」は、柔らかなギターのトーンに乗せて綴られる彼の歌声がやさしい雨のように観客に降り注ぐ。「ビスケットじゃない褒美」で聴ける田中(g)の幾何学的とも言えるシーケンスなフレーズのアイデアを始め、インテリジェンスな匂いも醸すMorton the On。また、哲学的でもあり、文学的でもある歌詞からも、彼らの世界観のオリジナリティを感じ取ることができた。これからどう進化しいくのか、楽しみなバンドであった。 今回のゲストバンドはFUZZY CONTROL。3ピースとは思えない分厚い音で、しょっぱなから観客の度肝を抜いていく。時に激しく、時に躍らせ、そして時に笑わせ、まさに観客と一体となって楽しんでいく彼らのパフォーマンスは、ライヴとは何なのかという、ひとつの答えにも感じられる。JUON(vo,g)のロックの教科書のようなエモーショナルなギタープレイと、SATOKO(ds,vo)とJOE(b,vo)の鉄壁のリズムセクション。これ以上足すことも引く必要もない完璧なコンビネーションがそこにあった。多くのロックイノベーターたちのエッセンスをけっして壊すことなく、自分達の血とし、肉としている彼らのサウンドは、まさにロックのおいしいところを目いっぱい詰め込んだ極上のロックンロールディナー! いつまでも味わっていたいと、そんな気持ちにさせられた。 前回の「LIVESTAR’s FES」ではトランジスターという名前で5人のバンド形体として出場していたセンチグラム。今回は名前も一新、そして3ピースという最小限の形でこの場に挑んできた。アレンジもシンプルに、その分、歌の表情がとてもよく感じとれる。微妙なブレスや感情の起伏までも手にとれるようだった。だが、それは彼らにとっては両刀の剣。ちょっとした心の動揺で一瞬にして会場の空気を変えてしまうことにもなるのだ。まして歌を聴かせるバンドであるセンチグラムにとってこのプレッシャーは、どれだけ大きかったことだろう。そういった重圧にも負けずに、「優しさ日和」「ナガレボシ」「名無しの唄」など得意のナンバーを丁寧に演奏していくメンバーの姿に好感を覚えた。少し緊張気味な彼らの表情と想いを知ってか、観客も新しくなったこのバンドに暖かい声援を送っていたのが印象的だった。彼ら自身、おそらく100%満足のいくパフォーマンスではなかっただろうが、次回のリベンジに期待したい。 最後に登場したのは、吉祥寺を中心に活躍中のロックンフォークバンド、サルーキ=。数多くの路上ライヴなどで叩き上げてきた、まさに吉祥寺を代表するツワモノ・バンドだ。chiyo(vo)の天真爛漫なそのキャラクターは、登場するやいなや、広いこの会場を一瞬にしてライヴハウスに変えてしまう!! 彼らの音楽をひとことで表わすなら、“極上のロックンロール”。多少押し付けがましいところもあるけれど、最後には誰をも笑顔にしてしまう……。それは、彼らの積み重ねてきたライヴの数と同じだけの自信からくるものだろう。 chiyoのしなやかな、まさにロックンロールのをやるために作られたかのような肉体が客席・ステージを問わず駆け回り、モーリー(g)のロック、ジャズ、ブルースなんでもござれのギターテクニック、そしてゆうちゃん(b)とkazu(ds)の鉄板のリズム隊と、この4人の奏でる音は、ジャンルの好き嫌いを超えて、誰もをハッピーな気分にさせてくれる。まさにプロフェッショナルとはこういうことなんだということを実感させられたライヴだった。 恒例となったセッションで演奏された曲は、過去にドラマの主題歌にもなったエコーズの「ZOO」。各バンドのフロントマンが交代でヴォーカルを取り、色トリドリの風船が花火のようにステージ&客席と飛び交うその様は、まるで野外フェスの最後を飾るシーンのようにも思えた。将来、彼らの中から、ビッグフェスでプレイするようなバンドが出てくるのであろうか? その答えは数年後、もしかしたら数ヶ月後には出ているのかもしれない。 ![]()
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